【 仕事のレシピ化・仕組み化 】(7/23) 写真の貼り付けも動画撮影もオンラインサービスも、まだ手を出すな! チェックシートのフォーム解説と、あなたが一番使い慣れているツールを使うべき理由
▼『ESTRELA』誌 2015年11月(No.260)号 お金も時間も稼ぎだす「仕組み化」実践コラム 第7回
前回まででチェックシート作りの基礎をお伝えしましたので、チェックシートについては今回でいったん締めくくります。
最後は、私が実際に使っているExcelのチェックシートをベースに、「チェックシートには何を書き込むのか」についてお伝えしていきます。
今回は私のExcelフォームをご紹介しますが、ツール自体はExcelでもWordでも手書きでも良いでしょう。
あなたが最も使い慣れているツールを使ってください。
私がExcelをおすすめする理由は、行ごと切り取ったり、貼り付けたりが簡単にできるからです。
作業の順番の入れ替えや削除、追加がスムーズにできるのが大きなメリットです。
今回は、私が実際に使っているExcelのチェックシートの型をもとに話を進めます。
このチェックシートは、私がこれまで数百のチェックシートを作ってきてたどり着いた、私なりにもっとも使いやすいと考えている形です。
< チェックシートの作例 >
① チェックシートの名前
このチェックシートで行う作業の概要を、簡潔に一文で書きます。
ここを見れば、今から自分が行う作業がひと目で分かります。
② このチェックシートを作った人の名前
私のレシピ化・仕組み化に対するスタンスは、「仕組みを使って生まれたミスは、作業者が悪いのではなく、仕組みを作った人が悪い」というものです。
チェックシートを使ってミスがあった場合、そのチェックシートを作った人に直してもらう必要があります。
すぐに修正する場所を伝えて直してもらうために、チェックシートを作った人の名前を記録しておきます。
③ このチェックシートを使った日
作業の記録を残す仕事の場合、作業をした日付を書いてもらうことで作業報告書代わりにしていました。
④ このチェックシートを使った人の名前
誰がこのチェックシートを使って作業をしたのか、記録をしてもらっていました。
作業者に、そのチェックシートの改善点などを聞くときにも有効でした。
⑤ このチェックシートで行う作業の概要やゴール
ここには、
・今からやる仕事
・このチェックシートで経験できる事
・目指すゴール
などを簡潔に書いておきます。
当初、この欄はありませんでした。
しかし後輩や部下から、「成果は出るが、自分が今何をしているのか分からない」という意見をもらうことがあったのです。
今から自分がやる仕事を俯瞰できるよう、この欄を追加しました。
⑥ 事前に準備しておくもののメモ
個人的にとても嫌なのが、作業の途中で道具が足りなくて作業を中断させられることでした。
作業をする前に、その作業で使う道具などをすべて手元に準備しておきたかったので、この欄に必要な道具を書き出すようにしました。
⑦ 作業の区切り
チェックシートを作ると、つい何ページにもなってしまいがちです。
行動化を意識して書き出すと、予想以上に長くなることがよくあります。
作業を塊ごとに分けて見やすくするために、行の色が変わるようにしました。
「-(全角ハイフン)」を入力すると、その行の全てが灰色になるように設定しています。
⑧ 作業の「大まかな概要」
「詳細を書いた各作業」を、「大まかな概要」に分けます。
たとえば、次のような掃除のチェックシートがあるとします。
(1)ジョウロに水を汲む。量は、ジョウロの半分まで。
(2)応接室の観葉植物に、水をやる。
(3)応接室のテーブルを、雑巾で拭く。
(4)玄関の外で、玄関のマットを、5回はたく。
(5)ほうきとちりとりを持ってくる。玄関の外をほうきではく。
これらを、
・(1)~(3) → 応接室の掃除
・(4)~(5) → 玄関の掃除
といったように、「大まかな概要」に分けてグループ化します。
これを、「大まかな概要」の列に書いていくのです。
もうこのチェックシートを見ないでその作業をできるようになった人でも、時に、仕事の大きな流れを忘れたりすることもあります。
そんな場合でも、わざわざ作業の詳細は見ずに、この作業の「大まかな概要」が書いてある列だけを見ていけば、仕事の流れを思い出すことができます。
⑨ 作業の「詳細」
これは、実際に行う作業の詳細を書いていきます。
これまでお伝えした内容を思い出して、誰でも行動できるレベルを目指して記録をしていきましょう。
⑩ チェックボックス
作業を終えたらチェックを入れるボックスです。
普通は左にチェックボックスがありますが、私の場合は右。
理由は、右利きの人が多いから。
チェックシートを印刷して実際に使ってみると分かるのですが、文章を読んで作業を終えてチェックを入れるときに、左側にチェックボックスがあるよりも、右側にある方が文章を読んでそのままチェックができます。
これによって、チェックがよりスムーズになります。
ちなみに、単にチェックボックスが右にあれば良い、というわけではありません。
チェックボックスが左にあっても問題がないのは、文頭は揃っているものだから。
しかし、文末は揃っていないものなので、チェックボックスが右にあると、どの文章のチェックボックスかが分かりづらくなります。
実践し続けた結果、チェックボックスを右にするための条件に気付きました。
それが、
・(私のチェックシートのように)一行ごとに、線が引いてあること
・一行ごとに、行の色が変わっていること
というもの。
このどちらかの形でれば、チェックボックスが右にあっても、そのチェックボックスはどの文章のチェックボックスかが明確に分かります。
単に「チェックボックスが右にあると良い」と言う人もいますが、上記の2つのどちらかの形であることは必須です。
これを満たしていないと、チェックボックスを右にする利点を活かすことは決してできません。
チェックシートづくりに慣れないうちは、つくるので精一杯で、この10ものルールを覚えることは大変だと思います。
まずは、①・⑤・⑥・⑧・⑨の5つだけを入力してみてください。
それでも十分なチェックシートができあがります。
▼ チェックシートづくりで、画像貼り付けや
オンラインサービスを勧めない理由
チェックシート作りにあたっては、
・写真(画面のキャプチャー)の貼り付け
・動画の撮影
・オンラインサービスの活用
といった方法もあります。
それでも私が、最初のうちはExcelと文字情報のみにこだわるのには理由があります。
それは、チェックシートづくりを挫折する要因が増えてしまうから。
まだチェックシートをつくるだけでも大変なのに、
新しいツール自体の使い方を学ぶ必要があったり、
ツールによっては環境やシチュエーションを限定されたりすることがあるからです。
したがって、これらの方法は、あなたがチェックシートを作れるようになるまでは、できれば手を出さないことをおすすめします。
たとえば「写真の貼り付け」は、「チェックシートでの作業の洗い出し」という作業に加えて、「写真のキャプチャ撮影・加工・貼付」という作業が増えます。
「動画の撮影」もですが、仕事のやり方や手順や段取りが変わっただけで、撮り直しや編集し直しになってしまいます。
この修正も非常に面倒。
かなり高い確率で、チェックシートづくりを挫折することでしょう。
もし「写真の貼り付け」や「動画の撮影」によるチェックシートをつくりたいのであれば、次の条件を満たした場合に限ると考えます。
・「最も効率的で完璧な仕事の流れ」ができた
・ その流れに、もう修正の可能性がない
これらの方法によるチェックシートづくりは、少なくとも初心者にとってはまだ考えなくて良い手法だといえます。
また「オンラインサービス」ですが、私もいくつか試してみました。
しかし、チェックシートをつくる以前に、そのツールの使いこなし方を覚えるので一苦労。
最近はかなり簡単な操作になってきてはいますが、それでも普段使い慣れていて、インターネットがつながっていなくても使えるExcelやWordで十分だと思います。
「チェックシートをつくること」ができるようにさえなれば、どんなツールでも活用していくことは可能です。
「ツールを使いこなすこと」に時間を割くのではなく、まずはExcelなどの使い慣れたツールを使い、これまでの本連載での注意点を守りながら、「チェックシートを作ること」に慣れていくことを優先しましょう。
「目的」と「手段」を履き違わないように気を付けたいところです。