【 仕事のレシピ化・仕組み化 】(2/23) 「仕組み化」を理解する前に、まずは「行動化」から。 あなたの部下が成果を出せない大きな理由の1つには、あなたの指示の出し方にあった。こんな指示の出し方、し
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『ESTRELA』誌 2015年6月(No.255)号
お金も時間も稼ぎだす「仕組み化」実践コラム ②
前回は、自己紹介がてら、私が「仕組み化」を推し進めた経緯と、それによってどれだけの「時間」を得られたのかをお伝えしました。 そして、ワークを通じて、皆さんが「仕組み化」を頑張り続ける原動力となる、「仕組み化を頑張る目的」を洗い出していきました。 皆さんが時間を作り、やりたいことをやれるようになるために、まずは第一歩として、自分が頑張る目的を忘れないようにしましょう。
さて、今回は、「仕組み化」の基礎となる「行動化」についてお伝えしていきます。
この「行動化」を意識し、自身でも実践できるようになっていないと、いくらマニュアルなどを作っても、そのうち必ず使われなくなっていってしまいます。 私は、この使われなくなってしまうマニュアルのことを「死にマニュアル」と呼んでいます。
せっかく作ったマニュアルが使われなくなり、「死にマニュアル」化していってしまうと、「どうせマニュアルなんか作ってもムダだ」「どうせ誰も使ってくれないし」という空気が拡がり、「仕組み化」の活動自体も勢いを失ってしまいます。
この、マニュアルの「死にマニュアル」化を防ぐための一番大事な要素が、今回解説する「行動化」なのです。
この「行動化」を定義するなら、「あいまいな指示や文章を、次に何を具体的に行えば良いのか、誰でも分かるものにすること」といえるでしょう。
ここで、次の文章を読んでみてください。
▼ パソコンを勉強しなさい。
よく耳にしそうな一文ではあります。
しかし、この一文を読んで、何を具体的にやればよいか、イメージが湧きますでしょうか。
「パソコンを勉強する」という文章は、実は、何をやれば良いのか全く分かりません。
・勉強する「パソコン」とは、Excel? Word? PowerPoint? ショートカットなどの操作? 基本的な機能? それとも、パソコンの構造自体?
・「勉強しましょう」とは、何をどう勉強すればいいの? おすすめの本は? 毎日何分くらい? 一日のうちでいつが良い?
など、「パソコンを勉強する」という捉え方が無数にあるので、その指示を聞いた人によって行動がまちまちになってしまいます。 結果、指示を出した人と指示を出された人の「パソコンを勉強する」という認識も異なり、「思っていた結果と違う…」ということになってしまいがちです。
そこで、「行動化」を意識して、文章をこのように書き替えてみます。
▼ 毎朝、起きたら15分、ショートカットキーを、 ●●というテキストを使って勉強する。
10分は、新しい2ページを勉強する。問題があれば解く。
5分は、昨日の2ページを復習する。読み流すだけで良い。
ここまで具体的に指示を出されたら、ほとんどの人が、言われたことを言われたとおりにできるのではないでしょうか。
「今日は10分しか勉強ができなかった」という場合には、指示を出した方も、「あと5分、復習の勉強もしなさい」と、具体的な評価や査定、具体的なアドバイスができるわけです。
「いやいや、社会人なんだし、『パソコンを勉強する』って言われたら自分で考えようよ」と感じる方もいるかもしれません。
そう感じる方は、次の私からの指示を読んで、自分で考えて、自分で動けるでしょうか。
▼ カードの利用履歴をサイトから吐き出して、 会計ソフトに取り込んでおいて
この一文を見て、自分が何を具体的にやればよいのか、ご自身で考えて想像できたでしょうか? この仕事、私なら3分でできてしまう非常にカンタンな仕事です。 しかし、ほとんどの方が、この直後にやるべき行動のイメージすらつかなかったと思います。
そしてあなたはこう言われるわけです。 「社会人なんだから、自分で考えてとりあえずやってみてよ」。
その仕事を初めてやる人や新人の気持ちをご体験頂けたかと思います。
自分ができる仕事は、「この仕事、ラクだよ。誰でもできるでしょ」と思ってしまいがち。
だから指示を出すときも、あいまいな指示を出しがち。
・カードとは、法人カード or 個人カード?
・サイトのアドレスは? そのログインのID・パスワードは?
・いつからいつまでの分のデータを指定する?
・「吐き出す」ってなに?その「吐き出し」の手順は?
会計ソフトへの取り込み方は?
など、分からない部分が多すぎて具体的な行動がとれず、無駄に時間を浪費しかねません。
逆に言うなら、これらの項目を明らかにしておけば、誰もが行動ができるという可能性がかなり高まります。
このように、人に指示を出すときには、「行動化」を意識して言葉を選ぶべき、依頼をすべきなのです。
部下が増えてくると、毎回、行動化のすべての項目を口頭で伝えるのは大変です。
しかし、行動化を意識した指示を出せるようになれば、あとはもうその指示をマニュアル等に書いておくだけで、次回以降はそのマニュアルを渡すだけで仕事の指示や引継ぎが終わります。
これが私の言う「仕組み化」です。
この「仕組み化」ができるようにするためにも、せっかく作ったマニュアルを「死にマニュアル」化させないためにも、日頃から指示を出したりマニュアルを作ったりするときには、この「行動化」を意識しましょう。
▼ ワーク:次の依頼を「行動化」してください。
①「風通しの良い職場を作ろう」と言われたら?
②「おいしいお店を教えて」と言われたら?
▼ 制限時間: 3分。
今回は、参考までに回答も載せておきます。
▼ ①の回答例 ・社員を役職ではなく、下の名前で「さん」付けで呼ぶ ・週に一度、社長が社員3人とランチや飲み会に行く ・批判や意見がある場合は、必ず、代替案もセットで提案する など
▼ ②の回答例 ・参加者の人数、性別、年代、予算を確認する ・希望のエリア、希望のジャンルを聞く ・今回の用途(打ち合わせ、接待、デート)を聞く など
次回は、「仕組み化」で作る具体的なツールとその解説を致します。