【 仕事のレシピ化・仕組み化 】(1/23) 「毎日終電・月一休み」の状態から、業務量が3倍になっても、なぜ私は「定時17時上がり・週休3~4日」が実現できたのか。
長時間労働をなるべく減らし、より人間らしい生活が求められる風潮にある今、これまでになかったほど時短勤務や労働時間の削減に大きな関心が寄せられています。
しかし、単純に労働時間を短縮すれば良いわけではありません。
労働時間自体の短縮に加えて、その短縮された時間の中で「より成果を上げること」が求められています。
つまり、これまで以上に短い時間で大きな成果を出すことが求められているのです。
出す成果に対して投下する時間が減ってしまうので、仕事をする立場からすると、以前よりも厳しい条件が突き付けられることになります。
この打開策として世の中には様々な効率化のノウハウがありますが、私の提唱する仕事のレシピ化・仕組み化はより短い時間でより大きな成果を出す、「効率性」のみならず「効果性」をも高める手法であり、労働時間の短縮に大きく役立つものであると自負しています。
総務省統計局の機関誌『 ESTRELA(エストレーラ)』誌にて、仕事のレシピ化・仕組み化に関する連載記事を書かせて頂きました。
2015年5月(No.254)~2017年3月(No.276)の全23回に渡り、私自身が実践したことやその中で得た固有のノウハウ、他の方が仕事のレシピ化等を行う場合のコツなどをご紹介してきました。
本誌を国会図書館等で閲覧頂くのも一つの方法ではありますが、より多くの方にこのノウハウ等をお届けできればと思い、編集部からのご承諾の上、本日(2017年4月1日)より、これらの記事をご紹介して参ります。
効率化や仕事のレシピ化に模索する皆様のお役に立てれば幸いです。
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『ESTRELA』誌 2015年5月(No.254)号
お金も時間も稼ぎだす「仕組み化」実践コラム ①
税理士の天野 伴(あまのばん)と申します。
税理士業務に加えて、業務の効率化・仕組み化に関するセミナーや講演、執筆、そして、様々な業種の会社さんへのコンサルティングサービスの提供なども行っております。
今回より、私が得意とするこの「仕組み化」の概要と詳細、そして、読んだその日から活かせる内容や実際に使える具体的な手法などをお伝えしていきます。
まずは、各手法の詳細をお伝えするにあたり、そもそも私がどういう経緯をもつ人物なのか、そして、どのようにして標題にあるような改善ができるようになったのか、について、自己紹介を兼ねて紹介致します。
私は税理士資格を取得した後、都内の中堅税理士法人に入社しました。
入社して驚いたのは、先輩や上司からの指示。
「これ、とりあえずやっておいて」
「過去の資料やフォルダを見れば分かるから」
「後は自分で考えて」
とほぼ丸投げ状態。
マニュアルもなければ、過去の資料もフォルダの中身もまったく整理されておらず、理解だけで精いっぱい。
仕事が進んでいなくて怒られ、なんとか作業をこなす、というパターンで仕事を進めていました。
そんな自分でも、3年ほど経つと徐々に業務が増えてきます。
しかし、相変わらず不効率なやり方で仕事をこなしていたため、すぐにキャパオーバーになることに。
この頃は、毎日、ほぼ終電帰り。
23時半よりも早く帰った記憶がありません。
また、最も忙しかった時は、月に1日しか休みがない、ということもありました。
しかし、上司からは、「これからまだ仕事が増える予定だからよろしく」と言われ、今以上、仕事がきたらもう対応できない、パンクしてしまう、と危機感を覚えていました。
なんとか、もっと効率よく仕事をこなす方法はないかと、それこそ藁をもつかむ思いで書店へ行き、そこで巡り会ったのが、『「仕組み」仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン、泉正人 著)です。
マニュアル作りの本はたくさんありますが、こちらの本で紹介されている方法は非常にシンプルで、作り方も具体的。
サンプルまでついていて作りやすく、読み終えた直後からすぐに仕事に取り入れました。
『「仕組み」仕事術』で明確になったのは、マニュアル化をする仕事の対象の選び方。
仕事は「作業系」と「考える系」の2種類に分けられて、前者を徹底的に効率化し、できた時間を後者に投入してより成果を挙げよう、という考えがとても分かりやすくて腹落ち感もあり、まずは「作業系」の仕事の「仕組み化」を推し進めました。
自分の仕事の中で「作業系」の仕事を洗い出し、チェックシートやリストを作成。
定期的に発生するような仕事や、直近でもだいぶ先でも、対処する日付が決まっているような仕事は、タスク管理ソフト(私の場合はOutlookの「タスク」)にすべて登録。
まずは、本に書いてあることを書いてある通りに、忠実かつ愚直に続けていきました。
その結果、1年経った頃には、業務量や売上が3倍になっていましたが、毎日17時上がりができるように。有給や代休もだいぶたまっていたので、毎週週休3~4日生活をしていました。
自分の仕事を徹底的に「仕組み化」したことで時間を稼ぎ出すことができ、当初は早く帰ってゆっくりしたり遊んだりしていましたが、徐々にまた新しい仕事も受けるように。
これもまた「仕組み化」して時間を稼ぎ出す、というようなサイクルで仕事を回すことができました。
その後、数社を経て独立。現在は、さらに自分なりの工夫やアレンジを加えた「仕組み化」のコンサルティングを行っており、様々な業種の会社さんの効率化・仕組み化を行っています。
ご紹介した「仕組み化」ですが、やはりそれなりにやることがあります。小手先の手法ではないので、ラクしてすぐに効果を実感!、みたいなものではありません。
この「仕組み化」を推し進めるのにあたり、最も大事だと思っているのは、モチベーションとなる「目的」。
今回は、ご自身の「仕組み化」をする「目的」を決めてみましょう。
私のセミナーやコンサルティングでは、考えて頂きたいテーマを投げかけ、それをその場で制限時間内に思いつく限り書き出しもらう、「ワーク」という作業をします。
今回のワークでは、以下のテーマについて考えてみてください。
皆さんは、時間があればやりたいなぁ、という事はありませんか?
もっとゆっくり寝たい。
友だちと会いたい。
気になっているお店に行きたい。
ランニングを始めたい。
実家に帰りたい。
旅行に行きたい。
興味のある勉強をしたい。
スキルアップしたい。
「仕組み化」をすることですぐに得られるのは「時間」です。
ここで、「時間があったらやりたいこと」を書き出してみましょう。
誰かに見せるものではありません。
思いつくままに、心の求めるままに、本能・煩悩・欲望全開で書き出してみましょう。
もし明確に出てこない場合は、さらに細かく設けた以下のテーマに沿って書き出してみてください。
制限時間 : 1分
目 標 : 最低5つ
ワーク : 時間があったら、やりたいことは何ですか?
(1)趣味・好きなこと
(2)健康
(3)家族
(4)勉強
(5)仕事
とはいっても、なかなか自分では時間を測ってはやれないと思いますので、ぜひこんなスキマ時間にでも考えてみてください。
・電車を待っている間。
・駅から会社に出社するまでの間。
・パソコンのスイッチを入れて、パソコンが立ち上がるまでの時間。
・お手洗いに行って帰ってくるまでの時間。
目的・目標を達成できないのはなぜでしょうか?
それは、その目的・目標を忘れるからです。
ここで書き出したワークの答えは、皆さんにとっての「仕組み化を推し進めるためのモチベーション」となります。
できれば手帳や見えるところに貼っておきましょう。
そしてそれを随時目にして、今は時間がなくてできないそれらをやるために、時間を生みだす・「仕組み化」に取り組む、ということを頑張って頂ければと思います。
今回は、自己紹介を兼ねて「仕組み化」の概要をお伝えし、「仕組み化」を頑張る原動力になる目的を洗い出しました。
次回より、「仕組み化」の具体的な手法について、詳細をお伝えしていきます。