新年のご挨拶 : 「税制改正大綱」 の速報
新年、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
さて、先日、平成26年12月30日に、
・平成27年度 税制改正大綱
が公表されました。
この「税制改正大綱」とは、「税制改正の原案」のことです。
( 参考 ) 平成27年度 税制改正大綱
127ページと少し量が多いので、本大綱のポイントを中心に抜きだし、
以下で「要点速報」 としてまとめました。
少しでもご参考になれば幸いです。
なお、もし修正箇所等がありましたらご指摘ください。
宜しくお願い致します。
1.法人税
▼ 法人税率の引き下げ
現 行 : 25.5%
平成27年度 : 23.9%(▲1.6%)
・平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用。
▼ 実効税率の引き下げ
現 行 : 34.62%
平成27年度 : 32.11%(▲2.51%)
平成28年度 : 31.33%(▲3.29%)
・最終的には、20%台までの引き下げを目指す。
▼ 欠損金の繰越控除の期間が延長
・繰り越しできる期間が延長。
現行9年 → 10年に。
・欠損金の繰越控除の要件である「帳簿書類の保存要件」も延長。
現行9年 → 10年に。
・平成29年4月1日以後に開始する事業年度において発生した 欠損金額から適用。
▼ 雇用者給与等支給増加割合の要件が引き下げ
① 中小企業者 (資本金が1億円以下で、大企業の子会社等ではない中小企業)
・支給増加割合を、現行5%以上 → 3%以上
・平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用。
② 中小企業者以外
・支給増加割合を、現行5%以上 → 4%以上
・平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する
事業年度に適用。
▼ 確定拠出年金
・事業主が支払う「小規模事業主掛金」が損金になる。
・個人型確定拠出年金の加入対象者が拡大。
① 企業型確定供出年金の加入者(他の企業年金がない)
→ 年額24.0万円
② 企業型確定供出年金の加入者(他の企業年金がある)
→ 年額14.4万円
③ 確定給付型年金のみ
→ 年額14.4万円
④ 公務員等の共済加入者
→ 年額14.4万円
⑤ 第三号被保険者(専業主婦)
→ 年額27.6万円
2.所得税
▼ ジュニアNISAの創設
・未成年者のもつ「未成年者口座」にある、
① 少額上場株式等の配当所得
② 少額上場株式等の譲渡所得
は非課税に。
・毎年80万円まで、上場株式等を受け入れることができる。
・「未成年者口座」の開設の申し込みは、平成28年1月1日以後。
「未成年者口座」に受け入れる上場株式等への制度の適用は、
平成28年4月1日から。
▼ NISA
・年間投資上限額を、現行の100万円 → 120万円に引き上げ。
・平成28年分より適用。
▼住宅ローン控除
・平成29年12月31日 → 平成31年6月30日まで延長。
▼ 国外転出をする場合の、譲渡所得の課税
・国外に転出する場合、所有している有価証券等は所定の日に
決済したものとして課税される。
・対象者は、次の2つの条件を満たす人。
① 保有する有価証券等の金額が1億円以上ある。
② 国外転出の日までの10年以内に、国内に住所
などがあった期間が5年超。
・平成27年7月1日以後の、国外転出等から適用。
▼ 「日本国外に居住する親族」に関する、
扶養控除等の書類の添付の義務化
・「日本国外に居住する親族」の扶養控除や配偶者控除等の
適用を受ける場合には、
① 親族関係書類
② 送金関係書類
を作成し、会社へ提出する必要が。
・平成28年1月1日以後に支払われる給与等から適用。
▼ ふるさと納税の促進
・住民税の特別控除額の上限が、現状1割 → 2割に引き上げに。
・平成28年度分以後の個人住民税において適用。
・給与所得者等の確定申告をしない人からの地方自治体への
寄付の手続きについて、地方自治体が代行する
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設。
・平成27年4月1日以後に行われる寄付から適用。
▼ 国民健康保険
・「基礎課税額」の限度額が、
現行51万円 → 52万円に引き上げに。
・「後期高齢者支援金等課税額」の限度額が、
現行16万円 → 17万円に引き上げに。
・「介護納付金課税額」の限度額が、
現行14万円 → 16万円に引き上げに。
▼ 確定拠出年金
・事業主が支払う「小規模事業主掛金」が、個人の所得にもならない。
3.消費税
▼ 消費税の10%への引き上げ時期
・平成27年10月1日 → 平成29年4月1日へ変更。
4.資産税
▼ 直系尊属から住宅取得等のための資金の贈与を受けた場合の、
贈与税の非課税措置
・「住宅取得等資金に係る贈与税」の非課税措置の適用期限が
延長&拡充。
・平成31年6月30日まで延長。
・非課税の限度額
・平成27年1月1日以後の贈与から適用。
▼ 「結婚、出産、育児」に要する資金の一括贈与を非課税に
・20歳以上、50歳未満の個人が、結婚・子育て資金に充てるための
資金を直系尊属から贈与され、それを金融機関等で信託等に
した場合、受贈者一人について1,000万円まで非課税に。
このうち、「結婚の資金」は300万円までが非課税。
・平成27年4月1日から平成31年3月31日までの贈与に適用。
・贈与を受けた個人は、領収書等の支払の記録書類を金融機関に
提出する必要あり。
・贈与者が死亡した場合、死亡の日における拠出額から、
実際に支出した金額を控除した残額が相続税の対象になる。
▼ 「教育」に要する資金の一括贈与の非課税の延長
・平成31年3月31日まで延長。
・「教育」に要する資金に、
・通学定期券代
・留学渡航費
なども加えられた。
・「教育」に要する支出の領収書で、
・支払額が1万円以下
・その合計額が、年24万円まで
のものは、金融機関への提出は不要。
代わりに、支払先、金額等の明細を記載した書類を提出。
・平成28年1月1日以後に提出する書類から適用。
▼ 不動産取得税の特例措置の延長
・住宅、土地の取得に係る、本来は4%の不動産取得税の税率を
3%とする特例措置を、3年延長する。
5.その他
▼ 税務関係書類のスキャナ保存制度
・金額基準(現行3万円)が廃止され、要件を満たせば、
すべての契約書・領収書がスキャナ保存の対象に。
・要件は、「適正事務処理要件」を満たしていること。つまり、
① 契約書・領収書等の、適正な事務処理をする規程を
整備すること。
② ①に基づき事務処理を実施していること。
の2つを満たしていること。
・カラーではなく、白黒での保存も可能に。
・平成27年9月30日以後の承認申請について適用。
▼ 地方拠点強化税制
企業が、その本社機能を東京から地方に移転したりする場合の支援が。
・本社等の建物に必要な投資額への減税
・雇用促進のための税額控除
が創設。
6.今後、検討されていくトピック
・減価償却は、定額法への一本化の傾向
・法人事業税の、損金不算入化の傾向
以上となります。
なお、本解説は、平成26年12月30日付で公開された大綱等を基に作成しています。その後、適宜内容や詳細が変更される可能性が多分にありますのでご留意ください。